「日本代表」が難しい存在である理由
目指すべきか、目指さざるべきか――岩政大樹の経験論
「現役目線」――サッカー選手、岩政大樹が書き下ろす、サッカーの常識への挑戦
■はじめて「日本代表候補」になったときの喜びとその後の失望
結局、どの監督もおっしゃることですが、サッカーにおける日本代表とは、決して日本で1番サッカーがうまい選手から順番に選ばれるものではないということだと思います。監督が変われば当然、メンバーも変わります。もちろん日本のトップが集まる舞台ではありますが、それでもいくつかの矛盾を孕んでいるように見えることは仕方のないことなのです。
今回はそうした側面を持ちながらも、選手にとってはいつまでも夢である日本代表という憧れの舞台に対し、僕がどのようなアプローチで考えていたかをお話したいと思います。
日本代表は全てのサッカー選手、全てのサッカー少年の夢です。選ばれたくないと思うものなど、ただの一人もいないでしょう。
プロ2年目の2005年シーズン。僕が所属していた鹿島アントラーズは、前半戦でリーグを独走していました。僕自身も未熟ながら、好調のチームに乗せられて開幕から自分の強みを生かすことができていました。
そんな中、6月にジーコ監督に率いられた日本代表は、ワールドカップ予選を勝ち抜いて、ドイツで行われる翌年の本大会への出場を決めました。そして、本大会に向けて、新たに試す選手の模索に入る中で、「大柄なセンターバック」を探していて、その候補の一人になっていると、クラブを通じて聞きました(代表候補に入る、代表監督が注目している、というようなことは、メンバー発表をされる以前からクラブや関係者を通じて知らされていることがあるのです)。
心が躍りました。自分に準備ができているとも、その力があるとも全く思いませんでしたが、願わくば一度、選ばれてみたいと素直に思いました。
結局、このときそれは叶いませんでしたが、僕が日本代表というものを初めて意識した瞬間でした。
しかし、ワールドカップを終え、オシムさんが日本代表の監督に就任すると、日本代表に近づいていると思っていた状況は一変しました。選ばれる選手は一気に様変わりし、タイプ的にも僕は好まれなかったと思います(僕は密かに、数学を教えられるという共通点に勝手に期待をかけていたのですが)。メンバーに選ばれるどころか、候補に入っているというようなことも全く聞かれなくなりました。
その頃から、日本代表に対する認識が、僕の中で少し変化していきました。